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台湾「太陽花学運」レポート

切れ目の見つからないデモ

ステージの上からも撮影したいと思って、バックステージ前にいる係の女性に声を掛けた。門前払いを覚悟していたけれど、ディレクターに掛け合ってくれて、僕はステージの脇まで行くことができた。でも、ステージに上がることはできなかった。そこから出口までの短い間だったが、係の人がどうにか知っている日本語で優しく声を掛けてくれた。

ステージを離れて、再び会場の中に戻った。会場では、演説が次々に行われており、様々な人が訴えかけ、その姿がスクリーンに映し出されていた。掛け声の度にみんなが拳をあげ、カメラマンは一斉にそちらにレンズを向けている。様々な団体が旗やプラカードを掲げ次々とステージに向かい、演説が終わった団体と花道ですれ違う。

ふとスクリーンの下に目をやると、無造作に「JAPAN」「PRESS」と書かれたガムテープを胸元と左肩に貼った人が見えた。日本語で声を掛けると、大手出版社の特派員の方だった。ガムテープは、万が一起きるかもしれない警察からのデモ強制排除のための防御策だという。「中国やタイでは痛い目にあったよ」とのこと。僕も小さいネームプレートを首から下げていたが、「ちゃんと目立つようにしといたほうがいい」とリュックの中からガムテープとマジックを出してくれた。

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そろそろここを去らねば。今回の訪台の目的であるライブの撮影に向かわなければならなかった。ステージを背にして脇の道から抜けようとしたけれど、どこもかしこも人だらけだった。シャッターを切りながら進んだ。

設置された簡易トイレには長蛇の列だった。政府関係庁舎にはぐるりと有刺鉄線が張り巡らされ、中からは警察がこちらを見張っている。でも、決して厳しい表情ではなかった。知り合いだろうか、子供やお父さんが手を振ると警官も笑顔で手を振り返していた。彼にも待っている家族がいるのだろう。

タクシーを拾おうにも、デモの切れ目が見つからなかった。地図を開かずに歩いているのでどこに向かって歩いているかも分からないし、タクシーを見つけても先を越されてしまう。左手に自由広場が見えた。デモ関係者もいるが、普通の観光客が多いように感じた。しばらく歩いていると、すぐそばに乗客を降ろすタクシーが止まったので、運転手に声を掛け乗り込んだ。僕は目的地のクラブ(ライブハウス)を運転手に告げた。

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