HOME < -Twitterから始まったデモ-TWIT NO NUKES〔前編〕

TWIT NO NUKES

楽しむためにデモを行うわけではない

後藤「ただ歩いているだけでお祭り騒ぎってね、あれは楽器とかの影響もあるのかもしれないですけど、僕が一緒に歩いた雑感としては、やっぱり渋谷の街でこれから映画を観に行くひとのほうが楽しそうでしたけどね(笑)。ショッピングしているひとたちのほうが(笑)」

平野黒澤「(笑)」

竹中「別にデモ、楽しいなんて思ったことないですからね(笑)」

後藤「(笑)。だって休日を返上してというか、自分の時間を差し出しているわけですからね、ある種の善意みたいなところに」

平野「まあなかには “デモに参加するのがすごく楽しいです”っていうひとがいるかもわからないですけど…」

後藤「それは、少しはいるでしょうね」

平野「僕とか、主催のひとたちで話しているのは、絶対他に楽しいことがもっとあるみたいなことは、ちょっと思ってしまうというか(笑)」

後藤「僕もブログに書きましたけど、本当にそう思います。僕だったらお酒を飲みに行ったほうが楽しいですもん。日曜日の昼間だったらバーベキューとかやったほうがいいんじゃないかっていう(笑)」

一同「(笑)」

後藤「その時間をみんなデモに差し出しているんだよって思うんですけどね」

竹中「だからこそ、デモに楽しみを見出すのはいいと思うんですけど、楽しいものとしてやったらダメだと思うんですよね。特に、扱っているものがこういう反原発とか、命の問題とかに関わることなんで。もちろん、やり続けることは大変なので、中に 楽しみを見出すのは自由だと思うんですけど、“楽しいですよ!”っていうデモではないってことは、みんな思っていて欲しいなってのはあるんですよね」

黒澤「TWIT NO NUKESのデモは、多分つまらないと思う、個人的に。例えば、サウンドカーとかあったら、分かりやすく楽しいとかあると思うんですけど」

後藤「有名なアーティストが来て歌うとかだったらってことですよね」

黒澤「生ドラムのビートでTWIT NO NUKESもやってますけど、つまんないってのはアレですけど、別に楽しくないっていうか…」

後藤「別に享楽的なニュアンス、フィーリングではないってことですよね、やり方が」

黒澤「そうですね。まったくないです」

後藤「それは参加してみて分かりました。すごく真面目だし」

新しい民主主義の通し方の模索

後藤「あとは、官邸前に行っても思うんですけど、運営にすごく気をつかっているように感じます。デモって “変なひとたちが入ってくるんじゃないか”っていう意識、多分、みんなあると思うんです。それで、実際に勧誘にくる団体もあると思うんですよ。そういうのを上手に抑止しているというか、“そういうことやめてください”ってちゃんと言ってますよね」

平野「そうですね。特に首相官邸前の抗議って、ああいう場は、3.11前は一般のひとが何か政治に文句があるときにフラっと行く場所じゃなかったと思うんです。やっぱり運動をずっとやってきたひとたちが3.11以前からいて、どっちかというとそういうひとたちが、言い方が悪いかもしれないですけど少人数で、身内でやるみたいな場になってたと思うんです、ずっと」

竹中「集会ですよね、身内だけの」

平野「僕らはずっとデモをやってきて、今年の3月の終わりから首相官邸前抗議っていうのを主催でやるようになったんですけど、そこで初めて個人で、一般参加で仕事帰りにフラっと寄るみたいなスタイルができて。なので、もともとそういう運動やってきたひとたちにとっては多分、あの場は、本当はその人たちの場所だったと思うんです」

後藤「はい」

平野「だから、勧誘っていうんではないですけど、例えば抗議の場で抗議をするんではなくて、どこかの団体のアピールをしたりだとか、そういうことがメインだったりするひとも中にはいて。僕らも試行錯誤しながらやっているので、なかには少しキツく言い過ぎている部分もあると思うんですよね、そういうひとたちに対して。だから、その辺は僕らも考えながら、意見を交わし合いながら、どうしたらシングルイシューで手段をブレさせずにちゃんと抗議できるかってことでやっているので、今の形が完成形かっていったらそうではなくて、試行錯誤しています」

後藤「シングルイシューってのは “脱原発/反原発”ってことですか?」

平野「そうですね。はい」

後藤「その一点で集まってるんだってことですよね」

平野「そうです。だからデモで、例えばノボリとかプラカードで、原発に関係のないものを持ってくるのはなるべくご遠慮くださいとか、そういう注意書きも入れているんです。それでも “これはどうなんだろう?下げてもらったほうがいいのかな?” とか、その辺の基準もスタッフ内で意見が分かれたりするし、まだまだ僕らも“これが正しい”みたいなのを探り探りやっているというか」

後藤「なるほど」

竹中「ただひとつ言えるのは、あの場で逮捕者を出したら負けなんですよね。シングルイシューの脱原発/反原発なのに、いわゆる警備している警察権力とかに楯突きたいひともなかにはいたんですよね。そういう点で、やっぱり緊張感を持ってやっている部分があって、それで、まだちょっとキツすぎる部分があるかもしれないと思うんですけど…」

平野「基本的にはデモにしても官邸前の抗議にしても、趣旨を良く理解しているひとたちが個人で集まってるという印象はあるんですけど、どういうひとが来るのか分からないので、そういう部分は探り探りやるしかないのかなと思ってます」

後藤「そういう権力との接触の仕方というか、軋轢を生まないようにというやり方は、やっぱり、まだもう少しデモっていうものが一般化していくにあたって、ここで問題を起こすとそれがマイナスになるってことですよね」

平野「そうですね。はい」

後藤「日本には日本のやり方を見つけないとですよね」

竹中「それを今、模索してる感じです。ちょっと大袈裟な言い方ですけど、新しく作ってるんじゃないかなって思うんですよね。そういう民主主義の通し方というか」

後藤「そうですよね。何もかも海外みたいにやればいいってわけではないですからね」

■TWIT NO NUKESの情報はこちら
(2012.6.13)
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