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FLAKE RECORDS presents “THE FUTURE TIMES Live & Talk”「RECORD STORE DAY」レポート

Talk Live

1枚売るのも100枚売るのも、同じ熱量かかる

後藤「レコードストアデイを来年以降、どうやって定着させていくかについて話したいんですけれど。CDショップも、欧米に比べて、日本ではよく持ちこたえてるって思います。アメリカでは、さっきウォルマートっていう例が出ましたけど、日本でいうと、ジャスコとか、イオンとか、ああいう巨大ショッピングモールでしかでしか売ってないみたいな印象ですよね」

和田「しかも、レジの横にポンってある感じでしょう。売れるチャートもののアーティストしか置いてない」

後藤「それで9ドル99セント均一とか、そういう感じだという話を聞きましたけど」

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チャーベ「投げ売りを始めてしまったんですよね。社会問題にもなってて、地元の商店街がウォルマートによってなくなるっていう。それって日本の地方都市とかと一緒で。どこいっても、同じお店があるじゃないですか、高速道路の近辺とか」

後藤「ありますね。映画館のある複合的な巨大ショッピングモール」

チャーベ「沖縄行った時に、ホテルにイオンが隣接されてて、それと自分の実家の田舎に帰った時の思い出がごちゃごちゃになって、どっちの時だっけみたいな、そういうことがわりと起こりうる」

和田「形もほとんど一緒ですもんね」

チャーベ「そうそう、1階にミスタードーナツがあるよね。あそこでドーナツ食べたのいつだっけな?沖縄だったっけ?みたいな(笑)。だからウォルマートはそういう弊害を巻き起こして、結局アメリカの音楽業界も変えてしまったと」

後藤「売られている物も一緒のような印象があります。例えば、大規模にチェーン展開しているショップに行くと、大体、同じ作品がプッシュされてる。もちろん、例外はありますけれど」

和田「バイヤーがいないので…。提案されるものは、売れるからこれを100枚置けっていう命令のもとに置いてるんで。もちろん、そうじゃない所もありますけども」

鈴木「CDショップも今、本当にいろいろと問題があるんだけど…。ある大型チェーン店は手書きポップをやめて、全部センターからの印刷ポップに変わった。買う側としては、今までは店員さんの字で、直筆の愛のこもったメッセージがあるからこそ手に取ってたんだけど、ただ単純にレコード会社から送られきた情報だけを印刷したものが貼ってあっても読まないですよね。そう思いませんか? 売り手がアーティストと作品を愛してないと絶対に届かない。これはもう、ミュージックソムリエ協会の一番の理念なんですけどね。ちょっと熱く語っちゃいましたけど」

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チャーベ「ダワのお店のとかは、もうダワのレコードへの愛じゃん、全部」

後藤「何がすごいって、全部自分で書いた文章でね」

和田「手書きじゃないけど、全部自分で書いてます」

後藤「あのホームページのやつもすごいじゃないですか。一枚一枚、ちゃんと解説して」

和田「全部やってます。1枚売るのも100枚売るのも、同じ熱量かかるんで、大変です」

鈴木「素晴らしい」

後藤「でもね、地方のCD店員さんとかツイッターで話したことあるんですけど、“やりたくてもやれない”って人もいるんです。あとやっぱね、アルバムとかも出るっていう情報はわかるんだけど、CDショップの店員さんが発売して店に並ぶまで、どんな曲が入ってるか知らないって聞きました」

チャーベ「試聴、事前にできてないんだね」

後藤「聴きたくても聴けないって。“サンプル盤なんて田舎の店に来ないです”って怒られたけど。確かにそれでは…。このあたりはどうにか変えられないかなって考えています」

春と秋。レコードストアデイは年に2回

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鈴木「レコードストアデイって実は年2回やっても構わないらしいんで、10月ぐらいにまたやろうかなと思ってます」

和田「秋にもあります。海外はまたそのリリース限定もいっぱいでるんですよね」

チャーベ「秋のパン祭りみたいなやつ。(笑)」

後藤「じゃあ、本当にヤマザキのパン祭りと合体して、パンにお皿が付いてくるんじゃなくて、レコードが(笑)」

和田「皿が(※19)、皿がついてくる。ポイント制や」

後藤「皿が、お見事!」

和田「うまいことを言わんでええ(笑)。なんかしましょか、秋」

後藤「はい。あと、レコードストアデイってCDもありなんです、実は。“CDとレコードを買いに店に行こう!”っていう日なんで」

チャーベ「できれば小売店にね、ちっちゃいお店とか」

和田「別にいいんですよ、タワーもアマゾンも。もちろん僕も買うし。ただ、なくなっちゃうのを食い止めたいなっていうだけですね」

チャーベ「“この日だけは行ってみようぜ”みたいな」

後藤「そういうのいいですよね。人と人が会ってこう、なんか、音楽が鳴るのがいいと思うんですよね。僕、自分の音楽が全部、自分のサイトからのダウンロードになったらつまんないと思うんですよ。人と関わりたいっていうか」

チャーベ「インターネットはバグが起こんないですよね、あんまり。起こりにくいというか。知ってる音楽をすぐに買える良さもあるんだけど、その隣にある音楽は、インターネットって実は買えなくて。レコード屋さんだったら、例えば“ゴッチ君レコメンド”って書いてあったら、隣に同じようにレコードに書いてあったりとかもするじゃない? “ゴッチ君レコメンド”3枚ぐらいあったら、そこから広がるっていう」

和田「偶然隣に置いてあったレコードのジャケットがかわいいとか」

チャーベ「そういうバグが起こるっていう、いいバグが起こるのは、お店の良さなんで」

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後藤「僕たちも現場で盛り上げたいですね、お店とミュージシャンと一緒になって」

チャーベ「DJとね」

鈴木「ぜひぜひ」

チャーベ「DJやれば?DJ宣言。ゲストいつでも呼ばしてください」

後藤「合宿したいですね。練習したい(笑)」

和田「そんな大層なもんじゃないって。さっきも“ピッチどうすんの?”とか質問してくるからさ。そんなんどうでもいいって。これは僕のやり方だけど」

チャーベ「好きな曲かけるのがDJだから、もう順番にかければいい。なんかちょっと止まったりとかしたら、しゃべったりとかして。なんか飲んで誤魔化すとか」

後藤「今、みんなロックバンドの人たちがDJをやるじゃないですか。みんな上手いんですよ。逆に今から参入しにくいんです、新たに(笑)」

和田「いやいや、できるよ(笑)」

後藤「“うわあ、今?うわあ、今?”って言われる。『だいじょうぶだぁ』のときの石野陽子みたいに(笑)。“今さら?”みたいな感じで。“30後半でしょ、あの人”みたいな(笑)」

和田「それは言われるよ。言われるけどやったほうがいい」

後藤「どうせだったらヴァイナル、レコードオンリーでやりたいなと思って。みんなCDJ使うの上手いじゃないですか」

和田「だっていろいろ調節できるもん、もう。パソコン上でもSERATO(※21)(セラート)でやっちゃうとピッチとか勝手にやってくれたりとか」

チャーベ「最近は、USBのフラッシュあるじゃないですか。あれをCDJ(※20)っていう機械にさすと両方に反映されて、もうそれでDJができる。俺、明後日友達の結婚式があるんですけど、レコードを結婚式に持っていくのやなんで、試してみようかなと思って。それも自分の手段の1つとして。使い分ければいいかなと思うんで。だからゴッチ君DJ」

和田「それ、広がる可能性がすごいよ。レコードの魅力を全国に広めてきてください。デビューを秋のレコードストアデイのイベントでやっちゃうっていうのは?」

鈴木「やりましょう」

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チャーベ「きれいじゃないですか、これ」

後藤「そうですね、わかりました」

鈴木「本当にやりましょうね」

後藤「やばいな。このイベントの最後の着地点が“ゴッチDJやるってよ”でいいんですか(笑)。今日はどうもありがとうございました」

一同  「ありがとうございました」

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鈴木健士

鈴木健士

RECORD STORE DAY JAPAN事務局長・ミュージックソムリエ協会 理事長
2007年、NPO法人ミュージックソムリエ協会を設立。制作をほぼ辞めて、CDショップ大賞の立ち上げから運営、RECORD STORE DAY JAPANの事務局運営、Music Sommelier at CAYのイベント運営、またミュージックソムリエの育成講座を実施している。
ミュージックソムリエ協会
RECORD STORE DAY JAPAN

DAWA

DAWA(和田貴博)

大阪、堀江のレコードショップ『FLAKE RECORDS』の名物店長。店内には新譜を中心に輸入盤レコードやCD、日本のインディーズレーベルの作品などが取り揃えられ、その全てに自作の紹介文 が添付されている。インストアライブなども頻繁に開催。その他、レーベル運営やイベント企画など、勢力的に活動中。
FLAKE RECORDS

CHABE

松田“CHABE”岳二(まつだ“ちゃーべ”がくじ)

1970年、広島県生まれ。ソロ・プロジェクトのCUBISMO GRAFICO、バンド・スタイルのCUBISMO GRAFICO FIVE、キーボーディスト・堀江博久とのユニット、ニール&イライザ、DJ、リミキサーとして活躍中。また、FRONTIER BACKYARD、LOW IQ 01のライブバンドMASTERLOWのサポートも務める。2001年には、映画『ウォーターボーイズ』の音楽を手掛け、第25回日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞。渋谷Organ Banでのレギュラーナイト『MIXX BEAUTY』をはじめ、三宿Web他、CLUBでのDJで現場を大切にした活動を展開。

■注釈

(※19)皿

レコードは「皿」と呼ばれることもある。用例としては、「皿を回す」など。

(※20)CDJ

パイオニアが販売するDJ用CDプレイヤーの商標。CDを使用したターンテーブル。ピッチやテンポを変更できたり、スクラッチができる機種もある。

(※21)SERATO

セラートスクラッチライブ。PCとターンテーブルを連動させて、専用のコントロールレコードをアナログレコードのように操作し、コンピュータ内のデジタル音楽データをコントロールできる音楽ソフト。