東日本大震災から早くも1年の月日が流れました。あの日、沢山の命が理不尽に叩き潰され、被災地には未だに瓦礫の山が残っています。昨年3月から、数えきれないほど被災地に足を運び、シャッターを切ってきました。そのたびに、日々世間で叫ばれる「復興」という言葉の意味を考えてきました。復興とは、街の 機能が元通りになるだけでは決して果たせないものではないでしょうか。そこには、失った命を尊び、悼む気持ちが不可欠であり、それぞれの人が、明日に向かって「生きていこう」と思えた瞬間、そこから復興が始まるのではないかと思います。余りにフォトジェニックな現場に、多くのメディアが殺到しました。冬を迎え、痛々しい景色が徐々に姿を消すと同時に、メディアの足は遠のき、被災地のニュースは耳に届かなくなってきました。そして3月11日、1年という区切りを経て、益々関心は遠のくばかりです。果たして僕たちはこのまま震災を「過去のもの」にしていいのでしょうか?現在進行形で様々な問題が浮かびあがってくる現場にいると、これは被災地という特定の場所だけの問題ではなく、社会全体、ひいては人間そのものに突きつけられている大きな問題なのではないかと感じます。果たして僕たちはどのような社会に生きたいのか、自然や他者と、どのように共存して生きたいのか。未来というものに対してどう責任を持つのか。 失った多くの命を悼むと同時に、皆でこれからの未来について考えていきたい。このライブ、写真展が、ほんの少しでもそのきっかけになってくれたら幸いです。
1982年岩手県生まれ。studio AFTERMODE所属。大学時代は音楽を専攻。世界を旅する中でその不条理に気付く。2007年にアメリカのNGOに渡り研修を受け、その後南部アフリカ、中米などで地域開発の任務につく。2009年にはザンビア共和国にて学校建設のプロジェクトに携わる。2010年studioAFTERMODEに入社、ジャーナリストとしてアフリカを中心に取材を始める。東日本大震災により両親の住んでいた街、陸前高田市が壊滅、復興支援団体「みんつな」を立ち上げ 支援に関わりながら取材を続ける。写真と文章を駆使し、人間の可能性、命の価値を伝え続けている。2011年世界ピースアートコンクール入賞。東京都在住。
・岩手県陸前高田市1
・岩手県陸前高田市2
・岩手県陸前高田市3
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