あの日から3年の月日が流れました。被災地の海岸の光景は訪れるたびに違って見えます。かつてあった被災した建物の多くは撤去され、車で走っていると方向 感覚を失ってしまうことがあります。海岸を覆っていたがれきは処分され、代わりに土嚢やテトラポットが敷かれ、水平線まで見渡せた海への視界は土地のかさ 上げ工事や新たに造られた堤防で遮られつつあります。それを復興と呼ぶのですが、この復興の光景を目の当たりにして、心を痛めている人たちがいます。行方 不明者の家族を今も捜し続ける人たちのことです。家族が帰ってこない中で護岸整備が進むと、捜すところが奪われてしまうと焦りを覚え、命を捜し続けること で支えられていた心が折れてしまうように感じているのです。かといって工事を止めることはできない。そんな苦悩を抱えながら、今も命を捜し続ける人たちの 姿を通じて、本当に忘れてはいけないことは何なのかを問いかけたいと思います。
1975年大阪府生まれ。高校生のときベトナム戦争の写真を見てフォトジャーナリストを志す。1996年ブラジルに渡り、サンパウロの法律事務所で研修し ながら写真を本格的に撮り始める。2001年からは英国のLondon College of Printing(現ロンドン芸術大学)でフォトジャーナリズムを学ぶ。現在は東京を拠点に、アフリカや南米、アジアそして東北を駆け巡りながら、人間の 生きる姿を写真で伝えている。1999年国境なき医師団主催MSFフォトジャーナリスト賞、2000年日本写真家協会展金賞、2005年視点賞・第30回 記念特別賞など受賞。
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