南相馬市・20代女性(NPO勤務)

今のNPOで働くきっかけは、ご当地ヒーローをやっていて、そのツテで紹介されました。

そもそも、そのご当地ヒーローをやることになったのも、知り合いから頼まれたんですけど。全く演技経験もないのにいいのかと聞いたら、「急造の企画で人が足りなくて……」という話でした。『相双神旗ディネード』という番組で、これを制作してローカルで放送している「南相馬チャンネル」は、震災が契機になってできた新しい放送局です。相双地区の復興と町づくりの総合支援事業の一環として発足し、地元のイベントや仮設住宅などを回ってパフォーマンスも行なっています。今ではDVDも出ていて、近くの図書館に置いてあるんですよ。私は正義の味方をやっていて、実は、このNPOで働くもう一人の女性スタッフが悪役をやっています。正義と悪が、普段は一緒の職場で働いているんですよ。なんか、いいですよね。おかげで、地元ではすっかり有名人になってしまいました。引き受けた時はこんなに大きなプロジェクトになるとは思っていなかったので、ちょっと戸惑いもありますけど、子供たちが笑顔で寄ってきてくれるのはとても嬉しいです。

友達のママたちは、普段ほとんど市外に避難しています。たまにこっちに帰ってきて、子供をおじいちゃん・おばあちゃんと遊ばせているみたい。

同世代は震災を契機にここから出ていった人、多いです。そして、また戻ってきたいと思っている人は、あまり多くないです。一回避難しちゃうと、仕事も向こうで始めるし。だからみんな、避難先で新しい生活に定着している。特に名取(宮城県名取市)や岩沼(宮城県岩沼市)なら、都市部にも出やすいし、ここにも帰ってきやすいから、本当に住むにはちょうどいい場所だと思います。なんだかんだで、やっぱり地元は不安の色が濃いです。まだまだ、今後どうなるか分からないし。