福島市・20代男性(飲食店経営)

 震災当時は自分の店がオープン前で、予行練習をしているところだったんです。メニューや店の看板、名刺を作って。それが、工場がストップして何もできない状況になってしまって…。震災後、やっとオープンできるようになってからは、仮設住宅などを建てに来てくれた県外の人達で街中全体にとても活気がありました。お盆まではすごい数の人がいたんですけど、仮設住宅の建設が終わり、避難している人の影響もあって、今は減っています。

 放射能の話は気になるんですけど、お客様相手の仕事なので、自分が気にしているとお客さんも心地よく飲めないっていうか…。たとえば、マスクしながらお酒を作られても嫌じゃないですか。わざと「福島県産の野菜で作ってます」っていうアピールをする店と、「福島県のものは使ってません」というアピールをする店と、本当に様々なんですけど…。誰もちゃんとしたことがわかっていないので、それをはっきりしないと出ていった人が戻ってこれないですし、結局、どんどん人が離れていくんですよね。子供ができたタイミングで、不安だから実家に帰ろうかって避難する人も多いので。実家が県外にある人はいいんですけど、実際30代の人がそのタイミングで避難して、仕事がそんなにポンポン見つかる保証なんて全然なくて…。結局、この福島市を中心としたまわりの市のアパートなどが一時期、満室になりました。奥さんをそっちに住まわせて、自分は元の会社に残るかたちで通勤時間を伸ばして通う人が増えて。今は高速料金がタダだから、隣の市や県からの通勤も大丈夫だと思うんですけど。他にも交通機関が充実すれば、福島に残って働ける人がまだいるんじゃないかと思います。